やおきん「うまい棒総選挙」の 舞台裏を大公開! WebAR×チャットボットで 継続的な“好き”を生む戦略を実現。

やおきん「うまい棒総選挙」の 舞台裏を大公開!WebAR×チャットで継続的な“好き”を生む戦略を実現

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「#うまい棒の日(11月11日)」を盛り上げるべく、「総選挙」形式で実施したキャンペーン施策の背景や戦略についてご紹介。
本記事では、株式会社やおきん 営業企画部商品課 広報担当の小野 貴裕氏をお招きして、クラウドサーカス株式会社ファンテック事業部 シニアマネージャー 大野達郎、同社マーケティング部のイベントマーケター南田慶子とトークセッションをした様子をレポートします。

内容まとめ









✓「うまい棒の日」の認知拡大とファン育成を目的としたキャンペーン企画を実施。
WebAR「LESSAR」とチャットボットを活用した「嗜好性/購買行動」×「顧客属性」のゼロパーティデータを取得しつつ、抽選会によるノベルティ提供の企画。
1万人以上の参加、92%以上の回答率、1700件ほどのUGCを獲得!大手メディアでも多数取り上げられ、狙い通りの施策となった。










 

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はじめに

大野:本日は大きく4つのテーマに沿ってお話していきたいと思います。まずは皆さんに意識していただきたい点についてお伝えします。

ARなどのツールを使う上では、「利用」ではなく「活用」、「使うだけ」でなく「成果を出す視点」が大切になります。最先端の技術だから使うだけで成果が出る、というわけではありません。正しく使うための企画設計をすることが重要です。

そのためには、お医者さんから症状に合った適切な薬を処方してもらうのと同じように、「何を?(手段)」「誰に?」「何の為に(目的)」を明確にし、流行りの技術に振り回されず、目的に合わせた処方箋を考える必要があります。

最初は見込みが低い状態のユーザーが、知って興味を持って検討し、買った後は熱狂して、ほかのだれかに推してくれる状態に持っていくという流れは、ユーザーファネルと呼ばれます。このファネルの各フェーズにおけるマーケティングの打ち手は、薬を処方するように多種多様です。

たとえばバズらせたり、ファンマーケティングを行ったりするのもひとつの手段ですが、適切なタイミングで実施しないと効果が充分に発揮されないこともあります。企画設計においては、やりたいことと目的、それを支える要素を整理することが大切です。

01:きっかけとローンチまでの流れ

大野:最初は企画に至るきっかけについてのお話から始めていきます。

小野様:弊社は展示会に出展・参加することも多く、ある展示会でクラウドサーカスさんのARアプリを見かけました。私自身新しい技術に興味があり立ち寄ったのですが、そこで御社がWeb制作も手がけていることを知りました。 デザイン面も含めた総合的なWebサイトリニューアルをお願いしたのが、お付き合いの始まりです。

大野:Web制作がきっかけとなり、その後2021年のうまい棒の日に開催した「ARうまい棒」で、初めてAR企画をお手伝いさせていただきました。この翌年、2022年6月に小野さんからご連絡いただいたのが、今回の「うまい棒総選挙」企画の立ち上げです。
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企画までのおおまかな流れは、6月下旬にご要望をいただいた後、8月下旬から制作開始。小野さんも非常にお忙しい中、隔週で打ち合わせをしていただきました。9月に初稿をご提案した後は、10月の企画実施に向けて内容をブラッシュアップしていった流れです。
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こうしてできあがった企画「うまい棒総選挙」、結果順位はこのようになりました。やはりコンポタ味が強いですね。あとは企画全体を通して、めんたい味、なっとう味のファンの方の熱量が高めだったのも印象的でした。

小野様:売り上げとしてもコンポタはぶっちぎりですが、なっとう味はとくに、Twitterにもアツいコメントをくださる方が多くいらっしゃいました。
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大野:全体のフローとしては、うまい棒総選挙の企画LPから各味のマニュフェストを募集→ユーザーの方にTwitterで推し味を投稿してもらい、投稿完了後にアンケートを回収しました。回答者はその場で抽選に参加でき、当たりとハズレで切り分けてコンテンツを表示する、という流れです。
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02:パフォーマンスデータ

大野:キャンペーンの舞台裏をみていただくため、数字の部分のお話をしていきましょう。
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ログの測定期間は2022年10月19日(水)〜2022年11月30日(水)までの約1ヶ月半で、うまい棒総選挙のLPには16,000件のセッションがありました。

この結果から特筆すべき点は2点です。

  • 初回CV=「Twitterへの投稿」が約1,700件(16%)生まれていた点
  • Twitter告知のみで16,000セッションを獲得できていた点

今回、Twitterで推し味を投稿してくれた約1,700人の方には、「Twitterに投稿すると抽選確率が上がる」こと以外には、とくにインセンティブを設けていませんでした。 「うまい棒が好き!」という、うまい棒のエンゲージメントの高さが結果に表れた結果ですね。告知も、Twitter以外ではしていなかったんですよね。

小野様:告知はTwitterのみでした。自社Webサイトのトップページにバナーは設置しましたが、とくに広告は出していません。

大野:Twitter告知のみでユーザー16,000人がしっかり入ってきてくれているのは、フォロワーの方々のエンゲージメントが高い状態で、すばらしい結果ですね。

またアンケートページへのセッションに対して、設問8問すべてを回答完了した人数の割合も、92.5%と非常に高い数値になっています。このような企画の一般的なアンケートの回収率は60%前後にとどまることが多い中、しっかりと回答を完了してくれる方が多いのも、お客様とのしっかりした関係構築がうかがえます。
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出口調査の結果もいくつかピックアップさせていただきたいのですが、今回参加していただいた方の男女比は6:4くらいでした。御社の他の企画ではいかがですか?

小野様:大体このくらいの比率で、女性が多いです。
とくにブランディングをしていたり、戦略的にこの層を獲得しにいったりしているわけではありませんが、これに気づいたのは3年前にうまい棒川柳の企画をやってからです。
お母さん世代が多いのか、参加される方は30〜40代の女性の方が多いですね。

大野:子どもと一緒に、という軸で考えると、女性が増えているのかもしれませんね。30〜40代がピークなのは読み通りでしょうか?

小野様:そうですね。うまい棒が全国に広がって駄菓子屋に並んでいた時期で「子どもの頃に食べた」というのがまさにこの世代です。そのため、この世代の方が「うまい棒だ!」と、お子さんと一緒に楽しんでくださっているのかなと考えています。うまい棒川柳のボリュームゾーンも同じでしたね。

大野:10代はスマホを所有している母数が影響してきますが、弊社のAR企画では、基本的に50代以上の方の参加率は10%を切ることが多い印象です。今回50代が1割以上いるのも特徴的で、この層をしっかり取れているのもうまい棒の歴史が証明していますね。

「食べてみたい味」も大変おもしろいデータですね。個性的な味も集まっています。
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小野様:弊社の昔からの戦略として、うまい棒15種類は「野球チーム」に例えています。全員4番バッターではなく、なっとう味のような、ある場面では刺さる選手も必要です。マイナーな選手も大事にして、15種類でチームをつくっていく考え方は、うまい棒のコンセプトの土台としてありますね。

大野:ユーザーの方がどういうものを求めているかを味に反映させて、チームの組み替えをしていくのも楽しそうですね。

次はARに関するログも見ていきます。動画の再生数は約6,900回、出口調査からほぼ落ちずに入ってきてくれていますね。

注目ポイントは、フォトフレームが出るという残念賞に対して、撮影率が驚異の93.9%になったことで、非常に高い数値です。フォトフレームの内容にこだわった成果が反映されていると思いますし、撮影していただく分時間も長くなっていて、参加された方にとても楽しんでいただけた様子がうかがえます。

「#うまい棒総選挙」のタグをつけてTwitterに投稿されたUGCについても、企画スタートから終了までの期間で見ていきます。スタート時には約400件の投稿があり、11月11日本丸のうまい棒の日には、352件の投稿が創出できました。これについてはなにか仕掛けをしていましたか?

小野様:当日はブーストするために、Twitter公式アカウントで「#うまい棒総選挙とタグ付して投稿すると当選確率があがりますよ」と告知しました。

大野:意図的に成果を創出されていて素晴らしいですね。あとは、LINEニュースに掲載されたり、結果発表では朝のニュース番組で特集されたりと、メディアも大きく反応していました。

03:小野さんに聞く舞台裏

こだわった話

小野様:この企画では、ネット検索しても出てこない、ファン未公開の内容の濃いコンテンツを提供したいと考えていたため、うまい棒の歴史を深掘りする作業にはこだわりました。

開発秘話までさかのぼるため、社長や常務、当時からいる社員たちに話を聞きました。しかしあまりに長い歴史の中で、情報が食い違ってしまったというエピソードも、まさに企画の舞台裏と言えるかもしれません。

大野:それがマニュフェストに掲載されていた情報ですね。

小野様:香りにこだわった話や、なっとう味は3回やめている話など、ディティールを提供することでより印象づけをしたかったんです。「そういう味もあるんだ、食べてみたいな」という行動変容につなげたいという思いもあり、ここにはかなりこだわりましたね。

苦労話

大野:企画を作っていく上で、苦労した点はありますか?

小野様:膨大な歴史を整理するのも大変でしたが、冒頭でお話したとおり私自身がいろいろと兼務している部分では大変でした。正直はじめは「オープンキャンペーンをする」「クイズ形式にしよう」くらいしか考えていなかったのです。ただ「うまい棒の種類が15種類あるということをもっと認知してもらいたい」と大野さんに相談させていただいたところ、「総選挙」というアイディアをいただきました。

せっかく「総選挙」という形でユーザーの方に好きな味に投票してもらうなら、プレゼントもすきな味のものにしたい。そこから、プレゼントの抱き枕を全15種類作成することに決めたため、スケジュールとしては非常にタイトでしたね。

改善点

大野:今回の企画で、改善点をあげるとしたらどんな部分でしょうか?

小野様:クリエイティブに関しては、クラウドサーカスのクリエイティブ担当の方に勢いをもって動画など作っていただき、大満足の出来でした。そのため、そこに広告をかけなかったことが反省点です。

弊社はSNSマーケティングに着手したのもつい最近で、これまであまり広告も運用してきていません。ただせっかくこれだけ作ったものを、もっと多くの人に認知されないともったいない。予算をしっかりとって、広告もやっていくべきだと感じたのが改善点ですね。

大野:たしかに初回CV数や転換率、アンケート完了率でみると、ブーストすればするだけ有益なデータが集まりそうだと感じました。ここは次回の企画にむけて我々も一緒に考えていけたらと思っています。

今後の展望

大野:小野さんの中で、今後の展望はありますか?

小野様:駄菓子屋さんも減りつつある昨今、デジタル上でファンの方が楽しめることをやりたいと考えていたので、今回のような企画ができてよかったと思っています。今後はマイナーな味にもスポットライトを当てて、「それも食べてみたいな」と思ってもらうことで、認知を広げていきたいです。

また弊社が取り扱っているほかの駄菓子も含めて、「やっぱり駄菓子といえばやおきん!」というイメージを持っていただき、駄菓子文化を新しい形で楽しんでもらえるように広げていきたいですね。

04:今回の企画の設計

大野:今回企画をしていく上で、私や弊社が考えていた点についてお話します。

企画立案の手順

いちばん大切にしていたのは、「誰に、何を、何の為に?」を重視して、正しい処方箋にもとづいた計画立案をすることです。
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「うまい棒の種類を伝えるオープンキャンペーンを行いたい」とご相談いただいてから、まずは次の情報を整理しました。

  • 目的は何か
  • 目的を立てやすくするための戦略は何か

さらにこれを中長期的な目標に向けて展開し、

  • ユーザーエンゲージメント向上
  • タグやイベントの認知強化
  • メディア戦略強化
  • 熱量の可視化と来年度戦略の土台づくり

といった戦略を構築し、最終的に「うまい棒総選挙」というご提案につなげました。

間違った処方箋を避けるために、明確な目的と、それを満たすための戦略(達成させるための要因を落とし込んだ計画)を立てることを意識しています。

企画をする上でやるべきこと5つ

その1 『エンゲージメントを上げるための要素』

今回の企画において向上させるべきエンゲージメントは、以下のように定義しました。

  • お客様に商品の種類を正しく理解してもらう
  • 愛着をもって継続的に買ってもらう
  • 企画に参加してもらう

その上で「好きを醸成させる」をキーワードに過去事例を探していき、具体的に何をやるかを、以下のポイントに気をつけながら言語化していきました。

  • ユーザーのノイズにならないような接触頻度
  • おもしろいなと思ってもらえるような企画
  • 一方的ではなく、ユーザーさんも参加できる内容

その2『タグ/イベント周知』

今回の企画はイベント性が強く、ハッシュタグ「#うまい棒の日」をのばす必要がありました。タグやイベントを周知する上では、これらの欲求をどのように刺激するかが重要です。

  • 共振欲:「共有したい」気持ち
  • 表現欲:「自分なりの意見や表現をしたい」気持ち
  • 称賛欲:「認めて欲しい」気持ち
  • 啓蒙欲:「知らせてあげたい」気持ち

その3『参加モチベーションの設計」

どんなによい企画でも、結局は参加してくれなければ意味がないため、参加してもらうためには以下の2つのポイントを刺激する必要があります。

  • Interest:興味を刺激する要素はなにか
  • Desire:欲求を刺激する要素はなにか

今回のようなオープンキャンペーンでは「Desire」の部分は設計がしやすいため、とくに「Interest」について考えました。Interestについては「自分の好きを共有したい」という気持ちが働きやすく、例として「自分の県に関することには興味がわきやすい=県民性インサイト」をくすぐるような企画が用いられることも多いです。

その4『メディア戦略:6つのポイント』

どうしたらメディアにピックしてもらえるかは、主にこの6つの軸から、メディアが喜びそうな企画の方向性を考えていきます。

  • タイトルのコツ
  • 内容のコツ(トレンド生・唯一性・話題性・対立性など)
  • 入れ込む情報のコツ(役に立つ情報か、対象母数は多いのかなど)
  • 伝え方のコツ(専門性が高いか・意外性があるか、など)
  • 見せ方のコツ
  • 分かりやすさのコツ

その5『定点観測の方法と最大化』

やって終わりでは意味がなく、やってみてどうだったかを次に生かす必要があります。そのためにはどこを観測するかが重要で、また観測できるポイントを最大化するためには、今回の企画でいうとアンケートをとる必要がありました。

アンケートを取得する上では、

  • アンケート獲得する母数をどう増やすか
  • 回答率をどうやってあげるか
  • 有効回答したくなるような流れ

といった点を意識して、企画に練り込んでいます。

これらにより、誰かに共有したくなるという文脈の『総選挙』企画が完成しました。

コンテンツ設計のポイント

また、コンテンツを設計していく上では、大きく4つ意識すべきポイントがあります。
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  • 双方向性UX:自分だけが参加する・片方だけが受け取るような企画では参加意欲がさがってしまうため、インタラクティブ性をもたせる必要がある。
  • 直感理解UX:わかりやすさは非常に重要なため、直感的に理解できるかを意識することが大切。
  • ストーリー軸の没入UX:今回の出口調査は「うまえもん」くんとお話をしながらすすめていく形だったことからも、高い完了率を創出できた。
  • InstantWinお得感UX:ユーザーが参加するきっかけを作る必要があるので、その場で結果がわかるような抽選の要素を入れる。

目的次第ではあるものの、ユーザー体験を軸にした企画設計は、われわれのプロダクトの比較的得意領域です。具体的には、「体験によってなにかを理解してもらうこと」「すごいな、と感動することで意識や態度を変容させること」など、いわゆる好きを醸成することに対して効きやすい処方箋=ARやチャットボットだと思っています。

弊社のプロダクトは、体験者のエンゲージメントを上げて、企画の完了率・シェア率を高く保てるため、このような組み合わせを採用することが多いです。

おわりに

大野:今回「ファニーな感じで!」とお題をいただいたおかげで、非常にお仕事がしやすく、小野さんのおかげで大変楽しくお仕事をさせていただきました。「やおきん」という企業の在り方や、ユーザーさんにエンターテイメントを届けたいお気持ちが、本当にすばらしいなと感じました

小野様:ふんわりと「なにか企画できますか?」とご相談したのにも関わらず、大野さんがこちらの意図をしっかりと汲み取っていただいてご提案くださったので、企画の進行は本当にスムーズでした。本当に助かりました、ありがとうございました。

 

大野:今回の企画は常に「どう成果を出すか」という視点で、その都度双方で目的を確認しながら進められたため、非常にスムーズに企画を進行できました。ここは企画の成功に大きく関わってくる部分のため、皆さんにも重要性が伝われば嬉しいです。

南田:本日はありがとうございました!


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