ARのビジネスでの活用メリットと業界別の事例7選を紹介!
AR(拡張現実)は、今では幅広い業界・業種で活用されています。近年ではアプリレスのWebAR(ウェブAR)も登場し、新たなサービスやアイデアをビジネスに活かしたいと考える人にとって、AR技術は重要なキーワードのひとつになっています。
ARを活用すれば、ユーザーに向けては商品購入につながる疑似体験サービスが提供でき、自社内では業務を効率化できるというメリットがあります。
本コラムでは、「自社のビジネスにARを活用したい」「ARを活用するメリットを知りたい」という方のために、様々な業種でARがビジネスに活用された事例をご紹介します。
他社の事例を参考に、ユーザーが喜ぶビジネス企画のためのARの活用をぜひ検討してみてください。
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目次
ARとは
AR(Augmented Reality)とは現実の世界を仮想的に拡張させる技術のことで、一般的に「拡張現実」と訳されます。
ARは画像や空間、位置などから認識した現実世界の情報にバーチャルな視覚情報を重ね合わせて表示させ、目の前にある風景が拡張したかのように見せることができます。たとえばアニメのキャラクターが部屋の中に現れたかのように見えたり、デジタル情報で表示された洋服を「試着」することができます。
実際にはそこに無いもの、通常では見えないものや手に取れないものを可視化し、ユーザーが疑似的に体験できるのがARの特長です。ユーザーに非日常感や没入感など新たな体験を提供することで、感情を動かすコンテンツや企画に活かせる点に期待が集まっています。
また、企業の現場ではARの技術が業務を効率化して人手不足を解消し、働き方改革やDXの推進に貢献しています。たとえば製造業の工場ではARで作業手順を説明し、熟練者でなくても業務をスムースに行えるようにすることで業務の標準化と属人化の解消に役立っています。
ARの活用はゲームや エンターテインメントの分野に限らず、マーケティング業界や教育関係など今や様々な業種に浸透しています。
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桜AR(3Dコンテンツ)
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パラソルAR(3Dモーション付き)
【関連記事】事業部長が解説Vol1|ARができることって何?
VR・MRとの違い
AR(拡張現実)と近しい技術用語に「VR(仮想現実)」と「MR(複合現実)」があります。
VRとMRはARとあわせて活用されることも多く、いずれも現実の空間とバーチャルの空間とを融合させ、現実では知覚できなかった新たな体験を創り出す先端技術で「XR(クロスリアリティ)」と総称されます。それぞれの特徴とARとの違いをおさえておきましょう。
・VRとは、自分自身がバーチャルの世界に入り込んだかのような体験ができる技術
……ARがあくまで現実世界を主体とするのに対し、VRは現実世界と仮想世界の両方を活用する
・MRとは、現実の世界に表示されたデジタル情報に触れたり操作したりできる技術
……ARとの違いは、MRでは現実の空間を認識し、デジタルデータによるオブジェクトを現実空間の机上や床に置くことができる点と、物理的なコントローラーではなくユーザーの手の動きでそれらを操作できる点
【関連記事】【事例5選】ARとは?VR/MRとの違いや作り方、活用方法を簡単に解説!
AR・VRは「メタバース」のアクセスポイントとしても活用されます。「インターネット上の仮想空間」と定義される「メタバース」は、コロナ禍を経て非接触のコミュニケーションが推奨されるなかで注目を集めました。ビジネスの場ではアバターを用いたバーチャル展示会やバーチャル会議、バーチャル研修のほか、販促活動などに幅広く利用されています。
【関連記事】メタバースとは?ゲームだけじゃない!「メタバース」を活用したプロモーションやマーケティングの現状と未来について
ARのビジネス活用が注目される背景
近年の傾向として、VRやMRよりもARの注目度が高まっているようです。大手海外企業がARの活用に注力したことから、ARをビジネスに活用する際のキーワードは「海外」「ゲーム以外」とされてきました。現在では訴求力の高さとウェブARに代表される体験の手軽さなどから、ARは販売促進や顧客体験価値の向上、さらにはエンゲージメントの向上に高い効果が期待できると言われています。
実際に、ARコンテンツを体験したユーザーの約6割が「購買意欲が上がる」と回答し、ARを体験したユーザーのうち約4割がその体験を人に紹介(共有)するというデータが明らかになっています。
Zappar社の調査では、AR体験させることで自社の商品・サービスの注目度を高め、ユーザーの記憶への定着も70%高まるという結果が出ています。
参照:第2回ARアプリに関する調査レポート(クラウドサーカス調べ)
参照:Zappar社公式サイト
基本的なAR技術と特徴
基本的なAR技術は「ロケーション型」と「ビジョンベース型」に大別でき、さらに「GPS型(位置認識型)」「マーカー型(画像認識型)」「マーカーレス型(空間認識型・物体認識型)」などに分けられます。
「現実情報をどう読み取るか」の技術であるARの種類は、キャラクター画像などのコンテンツを出現させるためのトリガー(きっかけ)が何であるかにより区別され、それぞれの特徴を活かして活用されています。
また、ARの種類には起動(AR画像を表示)するのに専用のアプリを必要とするタイプと、アプリ無しで利用できる「ウェブAR」とがあります。
ARの制作方法には、一から開発する方法と作成ツールを利用する方法があります。ここではおもなAR技術を種類別にご紹介します。
ロケーション型
GPS
GPS(位置認識型、ロケーションベース)のAR出現トリガーは「位置情報」です。スマートフォンなどの端末の現在位置をGPSで取得し、「この場所にこのARコンテンツを出現させる」とあらかじめ設定しておいたARの情報とGPSを連動させ、設定した場所に向かって端末をかざすとARコンテンツが出現します。
観光地の道案内やGoogle MapなどのMAP系サービスや、位置情報と連動したゲームアプリなどに利用されています。
【関連記事】ARの種類
ビジョンベース型
マーカー型
マーカー型(画像型マーカー)は、端末のカメラに特定の画像を認識させ、そのまわりに仮想のオブジェクトや情報を表示するAR技術です。
たとえば、雑誌の表紙に掲載されたタレントの写真をマーカーに設定した場合、ARアプリがそれを見つけ、関連する情報をスマートフォンなどの画面上に重ねて表示することができます。
展示会パンフレットをかざすと、3Dの展示会用Tシャツ制作工場が出現するAR
マーカーレス型
マーカーレス型(ロケーション型ARマーカー)は画像等をマーカーとせず、特定の位置情報などをもとに仮想の情報を表示するAR技術です。
現実世界の特定の場所にARコンテンツを表示できるので、たとえば道案内アプリなどではスマートフォンのGPS機能を利用し、ユーザーの現在地をベースに目的地や進路、目印などをARで表示するのに利用されます。
GPS以外にVPS(visual positioning system)技術を用いたARもあります。GPSは衛星情報をもとにした位置情報であるのに対し、VPSはARカメラが認識した空間や地理データ(Googleマップなど)と、コンテンツ側で設定した地理空間情報を照合することで「特定の場所・特定の向き」にARコンテンツを表示できる技術です。
たとえば「高層ビルの谷間にARの巨大なキャラクターが現れる」「スタジアムの上空に本日のスタメン情報がARで表示される」といった演出をマーカーレスで制作できます。
屋内での活用例には、自宅にいながら商品のイメージを確認できるECアパレルショップの”バーチャル試着”や家具の”試し置き”などがあります。”イメージ違い”による返品を防ぎ、顧客満足度の向上も期待できます。
【関連記事】ARマーカー(ar marker)とQRコードの違い、作成方法と仕組をサンプルをもとに解説します!
最新のAR技術と特徴
VPS
VPS(Visual Positioning System、ビジュアル・ポジショニング・システム)とは、スマートフォンなどの端末のカメラで写した画像が、3Dマップ上でどの位置にあるのかを特定する技術です。
VPSでは、まず体験者にあらかじめ作成した3Dマップにスマホやスマートグラスでアクセスしてもらいます。それらの端末のカメラで捉えた画像をAIで解析し、スマホ(体験者)の位置と向きを正確に判定します。
企業側は設定した位置・向きに適したARコンテンツ表示やAR体験を提供することができ、ユーザーにとってはカメラさえあれば体験できる手軽さが特長です。
「その場所だからこそ体験できる」空間に適したAR表示はAR活用の幅を広げ、観光・回遊施策やリアルイベントでの新たなプロモーション施策への展開が注目されています。
【関連記事】空間認識(VPS)機能
LiDAR
LiDAR(ライダー)とは「Light Detection And Ranging」の略で、 光を用いたリモートセンシング技術のひとつです。レーザー光を照射した際の散乱光を測定した情報をもとに、対象物までの距離や対象物の形などを正確に計測する技術です。
LiDARはもともと測量や精密な3Dマップの作成に利用されてきました。近年では市街地での自動運転の実現などで注目されています。
ARにおいては、LiDARは物体や人間の顔や手をより速く・正確にトラッキングするのに利用され、関連技術には特にAppleが注力しているようです。
コスト面の課題はあるものの、LiDARを搭載した端末であれば3Dスキャンのために何枚もの写真を撮る必要が無く、3Dモデリングも容易になります。よりリアルなAR体験を提供できるものとして期待を集めている技術です。
iPhoneのLiDARスキャナでARの「LEXUS」ラジコンが部屋の中を走り回る体験を楽しめる
出典:株式会社プレースホルダ ニュースリリース
【関連記事】ARでオリジナルペイントした「LEXUS」が動き出す!“クルマ×デジタル×遊び”が融合した「LEXUSデジタルペイント」がトヨタ会館で開催
ARの面白い活用事例7選
ARが具体的にどのようなビジネスシーンで活用されているのか、業界別の活用事例7選をご紹介します。
メディア業界:TBS(テレビドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」)
TBSはテレビドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」の放送前のプロモーションとして限定AR企画を実施しました。夕暮れの空にスマホをかざすと、主演の広瀬すずさんと永瀬廉さんからボイスメッセージ入りのAR動画が届きます。
「夕暮れ限定AR」は番組公式Twitterアカウントで公開され、ドラマの第一話の放送前1週間、16時から18時限定で体験できる企画設計になっています。
時間限定にすることで夕暮れどきの「かけがえのなさ」を体験してもらい、ドラマの「エモい」世界観を共有してもらうことを狙って、1週間で9.6万回再生、1人あたり3回以上体験されました。
「#夕暮れ限定AR」のハッシュタグ付きでの投稿を促した結果、SNS(Twitter)投稿は1,000件以上となり放送前から話題を集めました。
【関連記事】9.6万再生を記録!ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」の世界観とマッチした限定AR企画で、放送前のプロモーションに成功!
ホテル・レジャー:ホテルニューオータニ
ホテルニューオータニは2022年に販売されたシリーズ第7弾『新謎解き宿泊プラン ~ホテルに住まうおしゃべり好きな小さな守り人たち~』において、ARアプリとチャットツールを活用したホテル史上初の新しい謎解き体験を提供しました。
同シリーズを2020年から販売している同社は、コロナ禍を経て非接触で楽しめるイベント、スマホひとつで完結できる企画を模索。
ARのキャラクターが画面上に現れてボイスを聴けるだけでなく、チャットツールによりキャラクターたちとの臨場感のあるコミュニケーションを実現し、よりリアル感のある謎解き体験を楽しんでもらうことに成功しました。
ARの企画でこれまで集客が難しかった若年層にアプローチでき、企画の見せ方の幅が広がりました。
【関連記事】AR×チャットボットで若い世代の集客に成功!ARによって、企画の幅が格段に広がりました/ホテルニューオータニ様
学校・教育:学校法人 電波学園
愛知県の総合学園である電波学園は、オープンキャンパスや学校案内パンフレットにARを活用。紙のパンフレットとWebサイトをつなぎ、楽しみながら学校について知ってもらう仕掛けでリピートやWebサイトへの誘導に成功しました。
ARはおもにオープンキャンパスへの呼び込みに活用。オープンキャンパス告知のダイレクトメールにショート動画を見られるQRコードを掲載し、ARを活用したスタンプラリーやルーレット企画も実施しました。アプリのダウンロードが不要、QRコードの作り替えも不要、ランニングコストを安く抑えられたと言います。
パンフレット表紙のダイヤモンド(学校のモチーフ)が3D映像で出現
“くじ引き”機能を活用し、数回に1回「当たり」が出る設計に
結果、3Dコンテンツの平均表示時間が44秒と長く、ARを体験した高校生の10%以上がAR自体の撮影やWebサイトへのリンク遷移に至りました。2022年と2023年では体験者数は2倍となり、1人当たりの体験回数も2回と増えました。
ターゲットとなる高校生たちが実際に学校に何度も足を運んでくれるなど、リピート率の高さが入学率の高さにつながります。同学園では今後の学校の広報活動にもARを継続的に活用していく見通しです。
【関連記事】ARで学園パンフレットに”遊びながら学校について理解を深める仕掛け”を。他校と差別化し話題性のあるコンテンツに!|学校法人 電波学園様
飲食:タリーズコーヒージャパン株式会社
タリーズコーヒージャパン株式会社は、全国のタリーズ店舗でのトムとジェリーとのコラボキャンペーン「トムとジェリー 桜舞うスペシャルコーヒータイム」の中でAR企画を実施しました。レシートのQRコードを読み込むとトムとジェリーのARフォトスタンドが現れ、桜が舞う情景や撮影を楽しめます。
ARには、店舗のなかで楽しめる体験を充実させ、SNSにその体験を投稿・拡散してもらうことで認知度をさらに高めることを期待し、アプリダウンロードが不要で体験までのステップがわかりやすいウェブARを利用しました。
AR体験をした方が写真を撮ってSNSに投稿した一部のUGC
キャンペーン期間中にのべ5万人以上がARを体験し、体験数は1人あたり平均2~3回、ARのアクセス数は13万PVにまで上りました。
【関連記事】タリーズコーヒーのトムとジェリーコラボキャンペーンにてARを使った店舗体験企画を実施。5万人以上がARを体験し、ARのアクセス数は13万PV!
食品メーカー:やおきん株式会社
「うまい棒」などの駄菓子や玩具の企画・製造・販売を行う株式会社やおきんは、キャンペーンのデジタル化を目指し、同社が制定した11月11日の「うまい棒の日」にまつわる取り組みのひとつとして、Web投票で「うまい棒」のオリジナルARフォトフレームがもらえる「第1回うまい棒総選挙」を実施しました。
特設サイトから自分の好きなフレーバーを全15種類から選択し、投票したユーザーを対象としたプレゼントキャンペーンで、投票した味のうまい棒抱き枕クッション(全15種)などが贈られます。
また、投票完了後に表示される「うまえもんの出口調査(アンケート)に回答する!」に答えるとオリジナルARフォトフレームなどが当たる抽選会に参加できる仕組みです。
動画の再生数は約6,900回、残念賞として設定したARフォトフレームの撮影率は93.9%に上り、LINEニュースやテレビのニュース番組で取り上げられるなど反響がありました。
【関連記事】
>Marketing CIRCUS DAYイベントレポート あなたの推しは?メディアで話題の"うまい棒総選挙"の舞台裏
>うまい棒のオリジナルARフォトフレームなどが当たる「第1回うまい棒総選挙」がスタート!15種類のフレーバーから自分の「推し味」を投票しよう
消費財メーカー・卸:ピップ株式会社
ピップ株式会社は、乳幼児用歯ブラシシリーズ「はみがき先生」で「正しい歯みがきの仕方」を楽しみながら学んでもらうためにAR動画を採用。同商品を含むブランド商品の販促・ブランディングにもARを活用しています。
正しい歯みがきを親子で楽しく、継続して実践できるようAR動画フォトフレームを用いて解説し、ブランドメッセージを伝えるとともに後発としての差別化を実現。虫歯菌を退治すると宝石をゲットできるなど、ゲーム性も採り入れました。
実際のARコンテンツ(短縮)
全4分間のAR動画を8割のユーザーが最後まで体験し、正しいみがき方を子どもたちが実践できるようになることでエンゲージメントの高さを可視化できました。「再購入意欲」は他ブランド比で10%ほど高い数値となり、子どもの歯みがきに難しさや課題を感じていたママ・パパ層に訴求してブランドのファンを育てることに成功しました。
【関連記事】AR動画をきっかけに、親子で「正しい歯みがきを身につける」ミッションを実現。後発だからこその差別化で、ブランドのファンを育む施策に!
観光:静岡県 熱海市
熱海市と株式会社LittleMonstersは特撮怪獣映画のキャラクター「ゴジラ」を使ったAR×観光プロモーションを実施し、地域活性化を実現しました。
同市が「熱海対ゴジラ」の観光×デジタル施策を検討する中でARマーケティングツールを採用し、巨大なゴジラが観光スポットに現れるというAR企画を実施しました。
熱海市の観光に新たな客層を呼び込む目的でARを活用し、企画を現地で知った人にも楽しんでもらえるよう、紙の台紙によるスタンプラリーも同時に実施。
マーカーレスで楽しめる手軽さからか、体験数は2週間ほどで1,300件以上に。ゴジラのファン層はもともと男性が多いのに対し、本企画のAR体験者は女性が7割を占めるという意外な好結果となりました。
【関連記事】ゴジラ×ARは迫力満点!熱海市の観光×デジタル施策にCOCOARを活用。意外なデータも発見できました/株式会社LittleMonsters
ARのメリット
ARをビジネスに活用する場合、ユーザー側には次のようなメリットがあります。
・AR動画や3Dオブジェクトで対象を直感的にとらえ、新たな体験を楽しむことができる
・自宅にいながら試着や「試し置き」ができ、ECショッピングの利便性が高まる
・スマホやタブレットのカメラさえあれば、比較的手軽に利用できる
・ウェブARであれば専用のアプリが不要
また、ARを提供する企業側からすると、
・紙のパンフレットなどにAR動画等を連携させ、広告の訴求力を高められる
・作業指示や新人教育にかかる手間を省き、人材不足・人手不足を解消できる
・リアルのイベントにおいても非接触で集客やプロモーションが実施できる
・自動翻訳機能で海外の顧客や外国人労働者とのコミュニケーションがスムースになる
といったメリットがあります。
ARの課題
ARには多くのメリットがありますが、利用する際のデメリットと言える課題もあります。スマホでの利用が主流であるがゆえの技術的な制限や、ユーザーの利用環境の問題が挙げられます。
・表示領域が限られる
・ARの利用中に「歩きスマホ」が発生してしまう
・空間認識などの高度なAR機能を利用するには高い処理能力が必要
・マーカー型のARでマーカー画像を読み込む際、照度や環境の影響を受けやすい
・GPSを使うARの場合、位置情報の流出リスクがある
・意図しない他者の映り込みなどによるプライバシー侵害のおそれがある
また、ARは商談数や利益の増加に直結するコンテンツとは言えず、費用対効果がわかりにくい点も課題だと言えます。
【関連記事】ARマーケティングとは?具体例や効果・課題、将来性まで詳しく解説!
ビジネスでのAR活用のアイデア出し方法
ARは顧客にユニークで新たな体験や「面白さ」を提供してファンの形成に貢献しますが、即効性を求めることはできません。ビジネスでARを有効活用するには、次のポイントを意識しましょう。
ARの強みを理解し、適切に届ける
ARの強み・特性は、集約すると「記憶に残りやすい・物事にストーリーを付与できる・ターゲットをしっかり絞れば理想の体験を実現する手段になる」ことです。
狙ったターゲットの記憶に残るような良質なAR体験を提供し、継続して利用してもらうことで接点を保ち、ブランドや商品に対する愛着や好感度を高めてもらうことでファンの形成につなげましょう。
「コミュニケーションデザイン」を大切に
ここで言う「コミュニケーションデザイン」は、「目的達成のために、誰に、何を、いつ、どうやって伝えるかを設計すること」です。
ARは手軽で体験性が高く、メリットの多い技術とは言え、ユーザーに「わざわざ体験してもらう」必要があります。
そこで、特定のターゲットユーザーが求める「理想の体験」がどのようなものかを見極め、ARを活用した体験が本当に必要かを検証します。「AR自体はハイクオリティだが、導線が良くないために誰も体験してくれない」という事態に陥らないよう、AR体験の導線をステップにした際の特定のターゲットの思惑や行動を確認しましょう。
たとえば「推しキャラが部屋に遊びに来てくれる」という設定であれば、ARをいきなり部屋に登場させるのではなく、まず声だけを聴かせて期待を持たせてから背後に現れる設定にする、といった考え方です。
ARをビジネスに活用してみよう
本コラムでは、技術としてのARの概要からさまざまな業界でのARの活用事例、ビジネスに活用する際のメリットや課題をご紹介しました。
ARのビジネス活用は、ユーザーには新たな体験やそこから得られる付加価値を提供し、企業側には作業効率の向上や人材不足の解消をもたらし、働き方改革にも通じるメリットがあります。
実際にARを導入する際のヒントとして、ご参考にして頂けましたら幸いです。 フォーム入力後、資料を閲覧できます。
WebARの活用法がわかる『LESSAR(レッサー)』概要資料