事業責任者が解説Vol1|ARができることって何?
ただ、どんなことが実現できるのか、どんなことに効果を発揮するのかは、聞いたことがあまりないと思います。
そもそもARってどんなやつだっけ?という方もいらっしゃるかもしれません。
「ポケモンGOみたいなやつです!」とお伝えすると、大半の方は「ああ!スマホをかざすと何かでてくるやつね!」と思い出していただけます。さすがポケモンGO。
今回、3回のコラムに分けて、
- ARってそもそも何ができるの?(ややロジカルにARを理解したい方向け)
- ARが得意/苦手なことは何なの?(やや感覚的にARを理解したい方向け)
- ビジネスではどう活用できるの?(ARの効果的な活用法を知りたい方向け)
といった疑問を解消していきます。
カギは「体験性」です。
AR(拡張現実)とは?
AR(Augmented Realityの略)は「現実世界を立体的に認識する技術」を指し、日本語では「拡張現実」と訳されます。
AR技術を活用することで、CGや3Dなどのデジタル情報を重ね合わせ、現実世界にないものが実際に存在しているかのような表現が可能になります。
それにより、現実世界では理解できなかったり、分かりづらい内容を「補完・補助」できることがARの特徴になります。
参考
ポケモンGO、AR浸水シミュレータ、横断歩道AR、らくがきAR
ただし、ARそのものは「技術」であり、「表現方法」ではないので、理解する際には注意が必要です。
AR活用の代表的な例として、社会現象にもなった「ポケモンGO」が挙げられます。
現実世界に仮想キャラクターを登場させて一緒に遊ぶことが可能で、「もしも目の前にポケモンがいたら」や「もしも自分がポケモンを捕まえたら」といった、多くの人が一度は妄想した世界をARで実現したコンテンツです。
他にも洋服やジュエリーのバーチャル試着や、家具を自身の部屋に出現させるシミュレーション体験、観光プロモーションにおけるデジタル周遊施策としてのARスタンプラリーなどの施策にARが活用されています。
さらにARを深く理解するため、ARの強み・弱み、特徴や使いどころについてみていきましょう。
ARは注目を集め、記憶に残りやすい
ARは「注目を集めやすい・驚きを生みやすい・記憶に残りやすい」という特徴があります。
AR開発のZappar社やマーケティング企業Neuro-Insightらが発表した研究レポートでは、下記の3点が明らかになりました。
- ARは非ARに比べて1.9倍視覚的注目を集めました。この傾向は、若年層及び、感情面を司る右脳の視覚的注目においてより強く確認することができます。
- ARは非ARに比べて強く驚きをもたらすことがわかり、この傾向は特に男性に顕著に表れました。
- ARは非ARに比べ、1.7倍記憶に残りやすいという結果が出ました。この傾向は年代、性別にかかわらず表れていたのが特徴です。
(引用元 :Mogura VR「集める注目は約2倍、記憶への定着は70%強く 驚くべきARの脳へのインパクト」 )
このことから、ARの強みは情報伝達手段としての「インパクト」と「特性」にあるということがわかります。
こう見ると「ARを使えば多くの人に見てもらえるし、話題になりそう!」と思われることもあるのですが、
手段である以上、活用する際には「ARを活用する目的」について考慮したり、目的・問題・課題に対して「適切か・不適切か」で判断することがとても大切です。
ARでできること
本章では「ARでできること」について、「現実の拡張」「拡張の対象」という2つの視点から、具体的な例をあげつつ紹介します。
まずは、それらをより的確に把握するために「ARの特性」について解説します。
ARの特性
ARの特性は2つ挙げられます。
- 「現実世界ではできないこと・困難なこと」が「空想」「仮想」によって補完される
- 現実世界にはない表現が目の前に起こる「面白さ」が演出できる
例えば、「まだ建てられていない家がどんな風に立てられるのかをイメージしたい」際に、
ARが無い場合は、頭の中で想像したり、CGのイメージ図を作ったりすることで、「現実世界を補完」しています。
ARを活用すると、「頭の中の想像が、まるで建てられたような形で家のイメージを視覚的に確認できる」ようになるとで、「住んだ時のイメージが具体化する」という効果を発揮します。
また「面白さ」は「感情が動くこと」であり、驚き・喜び・好き・懐かしい・興奮・恐怖・理解などの感情を動かすことができます。
上記の家の例ですと、住んだ時のイメージが具体化することで”ワクワク”や”ドキドキ”という感情になるでしょう。あるいは「もっとこうしたい」という欲が出てくるかもしれません。
こういった感情が動くことでエンゲージメントが上がり、購買意欲やリピート率が向上する傾向にあります。
この特性を踏まえて、ARでできることについてより詳しく見ていきましょう。
現実の拡張
「現実の拡張」という観点から、ARでできることについて紹介します。
時間軸の拡張
ARによる現実の拡張では、「時間軸の拡張」を実現できます。簡単に言い換えると、「すごく昔のモノや、今はない未来のモノを目の前に可視化・体験可能にできる」ということです。
例を挙げると、「今はない昔の建物やモノ、災害の状況を目の前にデジタルで復元」できたり「今はまだ建てられていない建物や、今後起きる可能性がある災害が目の前に視覚化」できるようなイメージです。
活用する際には、ARを活用した場面と現実を比較することで、効用が増すかどうかを検討することがポイントです。
例えば、目の前が浸水する場合どれくらいの高さなのか?を体験シミュレーションできれば、災害に関する動画を見るよりも災害の恐怖や驚きを自分事として感じることができ、
防災に対する意識や行動が変わるかもしれません。
下記の業界の活用イメージがイメージしやすいかと思います。
・観光:昔の寺社がデジタルで復興することによる興味関心度UP・教育的価値向上
・不動産:これから建つ家のシミュレーションによるエンゲージメントUP
・教育:これから起こりうる災害のシミュレーションと防災
引用:DREAMNEWS
位置(移動)の拡張
ARを活用することで人や物体の移動コストを削減し、現地の共有や物体の疑似設置を実現できます。有名人が家に遊びに来てくれるような疑似体験、家具や自転車の設置、店内装飾の確認、試着・メイクのバーチャル体験などが具体例として挙げられます。
たとえば家具の試し置きでは、実際に商品を部屋まで運んで設置し、確認後にまた返すとなるとコスト・時間・手間がかかります。ARを活用すれば実際に行うよりもコスト・労力を抑えられる上、商品を実際に設置して確認したようなリアルな体験(理解・納得)を味わえます。
この場合「移動コストが高いかどうか(距離が遠い・運ぶものが重いなど)」「想像とずれた際の痛みが大きいかどうか(高価なものを購入するなど)」が、ARを導入するのが適切か不適切かを判断するポイントです。
逆にいえば、家具を隣の部屋へ移動する場合や、100円程の安い商品を購入する場合など、そのポイントに当てはまらない場合は、ARを活用する必要性が低いといえます。
下記の業界の活用イメージがイメージしやすいかと思います。
・家具:ARによる試し置き施策で、来店前の検討/ECサイト上での購買前の検討として実施し購買意欲向上
・メイク・装飾品:バーチャルメイク/試着で、気軽に”商品を使った時”を体験し購買意欲向上
・BtoB製造業:展示会などで重い機械をバーチャル展示することで可視化できる
拡張の対象
次に「拡張の対象」という観点から、ARでできることを紹介します。
知覚の拡張
ARでは「知覚を拡張」して、現実世界や人体では認識しきれない情報を視界からシームレスに取得することができます。簡単に言い換えると、「分かりにくいを感覚的に理解しやすく」することができます。
たとえばARを活用した地図では、直感的に矢印を表示することで、進むべき方向が簡単に理解できるようになります。
他に、微生物のようなとても小さく、普通の生活では見ることが難しいものをARで巨大化させ、目の前に表示することで、驚きや興味、あるいは恐怖といった感情を動かすことができるでしょう。
この場合、ARを導入する上で認識しきれなかった情報を五感で得る必要があるかどうかを考えることがポイントです。
下記の業界の活用イメージがイメージしやすいかと思います。
・自治体:施設や観光地までの道のりをバーチャルに案内し回遊性を向上
・博物館:恐竜が目の前に現れて大きさや生体、動きを視覚的に理解できる
引用:livedoorニュース
記憶の拡張
ARでは「記憶を拡張」して、記憶しきれない情報と現実の物体を紐づけることができます。
たとえばコピー機が詰まった際、「コピー機の対処すべき部分が光ってくれたら助かるのに」と考えたことはないでしょうか。Excelやマニュアルだけではわかりづらい場合でも、実際のもので表示されることによって、より簡単に対応することができるはずです。
ARではそのような場合にデータと現実の物体を紐づけて表示することができるため、工場現場などでの作業サポートをはじめ、マニュアルや故障履歴などに活用されています。
この場合、ARを導入する上で、物体と情報を同時に見る必要があるかどうかを検討することが大切です。物体と情報をわけても問題がない場合は、そのほうがコストが低いので、ARを導入しても無駄になってしまう可能性があります。
下記の業界の活用イメージがイメージしやすいかと思います。
・製造業:製造現場のスムーズな作業進行が可能に
引用:工場での作業がよりスマートになる? AR搭載ヘルメットが登場
量の拡張
「量の拡張」においては、仮想の物体を現実の世界に出し分けて表示することで、疑似物体の扱いが可能になります。
たとえば、デバイスを看板にかざすことで、その場での言語翻訳などを実現できます。届けたい情報を出し分けることで面積・体積の制約を取り払うことが可能です。
他にも紙面広告や絵本は静止画像が基本ですが、「絵本のキャラクターが動く動画を載せたいが、動画を掲載するための場所がない」といった場合は、ARを活用することで、絵本をマーカーにしてキャラクターが動き出す演出を表現することができます。
このように、対象の面積に対して情報量が多い場合は、ARで補完することで価値が上がります。
この場合、表示したい情報に対して物体の量(面積や体積)に限りがあるかどうかが、ARの導入を検討する上でのポイントです。
もし限りがある場合は、スマホ等を通してARコンテンツを体験できる導線にすることで、制約なしに届けたい情報が届くようになります。
下記の業界の活用イメージがイメージしやすいかと思います。
・自治体:街の案内板をARでスマホ越しに多言語表記で閲覧できることによる理解促進
・出版:本や新聞・広告では伝えきれない情報が、スマホ越しのデジタルコンテンツによって追情報を取得
質の拡張(非現実の疑似体験)
「質の拡張(非現実の疑似体験)」では、仮想や空想の世界でしか体験出来なかった性質のものを、現実世界の自分で疑似体験することが可能 になります。デレステARやSnowなどが代表的な例です。
たとえば、大好きなアニメキャラクターやアイドルと等身大で会えるコンテンツや、間近で見ることができる体験など、”好き”や”ワクワク”などの感情を動かせるような、より魅力的なコンテンツであれば、AR活用による効果が高いといえます。
ここでは「非現実の世界」がどれだけ魅力的かが非常に重要になり、逆にいえば、魅力がない体験をARで実施することはあまり意味がないともいえます。
下記の業界の活用イメージがイメージしやすいかと思います。
・キャラクターを持つ企業:二次元の世界から飛び出し、目の前にキャラクターが現れる”ワクワク”と”好き”の演出
・レーベル、芸能事務所など:ファンがついている俳優、芸人などとデジタル上で触れ合うことで、エンゲージメント向上
引用:スターティア社プレスリリース
さらに違った観点から、もう少しシンプルにARの活用法について考えてみましょう。
>続きはこちら 事業部長が解説Vol2|ARは魔法の杖じゃない。理想の体験からAR活用法を考えよう
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